アナログレコード
「不思議の旅」
1.時代背景

 デジタル音源になった現在、世界的アーティストの楽曲は同じ音源(CD,DVD,ダウンロード等のデジタル音源)で聴くことになる。従って、同時期・同時間において、世界中で共有されているのだ。現在、大ヒットしている映画「ボヘミアンラプソディー」も同じで、同じ画像と同じ音源で(見たり、聴いたり)楽しんでいることになる。それが紛れもないデジタル化であり、凄い時代になったものだと思う。
 しかし、現在のLPレコードとして聴かれ始めた1950年代から60年代はインターネットどころかパソコンすら無かった時代である。携帯電話や携帯端末などは夢物語の時代であったのだ。
 1950年代はやっとコンピュータのハードウェアが磁気コア・リレー・真空管方式(第1世代)からトタンジスタ方式(第2世代)になった時期でプログラム内蔵方式の商用利用が1951年から始まった。
 1960年代に入ると集積回路(IC)が発明され、コンピュータも第3世代となり、磁気コアも半道体に変わった時期である。IBMが世界的なコンピュータメーカーとなり、System/360や磁気コアメモリから半道体メモリを採用したSystem/370へと変遷している。
 また、宇宙開発ではアポロ計画で人類初の月面着陸があった時代だ。1960年代はIBMが汎用コンピュータを販売し、プログラマという職業も出始めた。
 私は小学生であったが、メモリが磁気コアで作られたコンピュータの記事(小学2年か3年の頃)を読み、IBMがICを使ったコンピュータのニュース(小学5年か6年の頃)も見た記憶がある。
 実際には中学3年か高校1年の頃、NHK教育(3チャンネル)のコンピュータ講座を見て、プログラマを目指した経緯がある。講座の中で記憶に残っているのは、「コンピュータで絵を描こう」というもの。一時期流行ったがプリンタで「モナリザ」を印刷してみせた。
 もう1つは、「コンピュータで作曲しよう」だったように記憶している。マイコンに電気ピアノのような楽器を接続して、リレー回路を操作して音を出していたと思う。今でいうコンピュータミュージックの先駆けのような内容だった。但し、現在のような物では無かったが・・・

アナログレコード「不思議の旅」
サイト管理者:アナログ&オークション・オーナー
2.音を記録する

 音を記録するという技術を発明した人物はトーマス・エジソンである。1877年に蓄音機の実用化・商品化を行った偉大な発明家である。勿論、私たちの身の回りにある多くの物はエジソンが発明している。
 当初は蝋管(ろうかん)と呼ばれる記録媒体(円筒形)を使い、蓄音機によって再生された。まだ、電気の無い時代である。その後、記録媒体は円盤の形となり、大量生産が可能となった。いわゆる、SP盤と呼ばれるものである。残念ながら音質的には望めない物であった。
 しかし、音を記録するという難問に人類は勝利したのである。なお、1857年、フランス人エドゥアール=レオン・スコット・ド・マルタンヴィルが発明したフォノトグラフが音を記憶する装置の最古のものであるとしているが、再生はできなっかったようだ。
 その後、1900年代には録音機材の発達により大量生産されたSP盤は蓄音機と共に一般家庭にも普及していくことになる。また、多くの軍歌がSP盤として作成され、ラジオの普及と共に軍国主義そして太平洋戦争に誘導していくことになる。勿論、蓄音機も真空管の発明により電気式蓄音機、いわゆる電蓄が普及することになる。
 終戦を迎えた日本に新たな希望の光をもたらした物もSP盤であった。戦後歌謡は当時の国民にとっては欠かすことのできない娯楽となっていったのである。日本では1960年代初頭までSP盤は製作されている。
 米国ではSP盤の普及に伴い、1940年代には大物歌手がぞくぞくと誕生している。1950年代にはジャズが全盛期を迎え多くの名プレーヤーや名ボーカリストが生まれた。
 また、アメリカのコロムビア社が1948年に開発した長時間レコードのLP(Long Playの略称)盤を開発し、SP盤からLP盤へと移行した時期である。
 ちなみに、SP(Standard Playの略称)盤は78回転/分、LP盤は33と1/3回転/分、EP(Extended Play)盤は45回転/分である。

アナログレコード「不思議の旅」
サイト管理者:アナログ&オークション・オーナー
3.音溝をレコード盤に刻む

 LP盤が普及していく中で、レコードの原盤(ラッカー盤)を作成するカッティング・エンジニアが多くの名盤を生み出している。このデジタルブックでも、「3.アナログレコードができるまで!」、「4.カッティング・エンジニア」でレコードの製作工程とカッティング・エンジニアの仕事が理解できると思う。
 また、1960年代~1970年代は現在のレコードがLP盤・EP盤として定着した時期であり、レコード全盛時代でもある。さらに、カッティング・マシン(原盤を作る機械)も全盛期を向かえる。そのような時期であるのだ。
 おそらく、この時期でアナログ・レコードは一応の完成を見るのである。エジソンが蓄音機を発明してから100年の出来事である。良く聞く話だがアナログ・レコードの良さは1970年代迄と言われる。1980年代になると電子楽器、音響機器、そして、1982年にはCD(Compact Disc)が発売されデジタル音源の幕開けとなった。
 日本ではCD(デジタル化)の普及により、アナログ・レコードやオーディオ機器はその役目を終えたように市場から姿を消していくことになる。世界的に見てアナログ・レコードを捨てたのは実は日本だけである。
 なお、現在では東洋化成とソニー・ミュージックエンタテインメントがレコードの製作・販売を行っている。

アナログレコード「不思議の旅」
サイト管理者:アナログ&オークション・オーナー
4.レコードの何が不思議なのか!

 さて、本題に戻ろう。アナログレコードの不思議であるが、何が不思議であるのか?
 先ほども書いたが、デジタルの動画や音源は通常、サーバーと呼ばれるコンピュータ上に1つあれば済んでしまう。サーバーにアクセス(動画や音源を再生するソフトを使う)すれば、最新の映画を観たり音楽を聴くことができる。勿論、そのためには利用者情報や支払い情報の登録が必要になる。有料であることが殆どだ。
 また、同じソースを利用しているのだから、全世界の人々が同一の映画を観て、同じ音楽を共有できるのである。これがデジタルの世界だ。
 ところが、レコードが主流になり始めた1950年代から1970年代には現在のようなネットワークやデジタルな動画や音源があるわけでもなく、アーティストはレコード会社の機材を使って録音したテープ(通常、このテープをマスターテープという。基本的にこのテープは1本しか存在しない)から、複数のテープを作成したものが各国のレコード会社に送付されていたのだ。
 なお、当時はレコード会社だけでなく、アーティスト自身が録音機材を揃えたスタジオも多数存在していた。

アナログレコード「不思議の旅」
サイト管理者:アナログ&オークション・オーナー
5.レコードの音の違い(1)

 マスターテープからコピーされたテープは子テープ、孫テープ、ひ孫テープのようにコピーされていく。ここで、重要なことはデジタルと違いテープのコピーは音質劣化を招いてしまうのだ。デジタルは簡単にコピーやダウンロードができ、なおかつ劣化しないのだ。これは凄いことであるが、著作権のある映画(DVD)やCDが無造作にコピーされては、アーティストやレコード会社もたまったものではない。そこで、コピーガードやコピープロテクトによって複製が出来ないようにしているのだ。
 もっとも、レコード全盛の時代にもオープンリールやカセットテープなどに録音して楽しんでいた時もある。特にカセットテープに録音するとカーステレオで聴くことができるのでレコードから好きな曲を選曲したマイ・カセットをたくさん作ったものだ。現在ではアナログレコードも簡単にデジタル化できるので、同じようにオリジナルのCDを作成する人も多い。
 先ほどマスターテープからコピーされたテープが世界のレコード会社に送付されていたと書いたが、1950年代はそうでもないようである。おそらく、マスターテープからコピーされたテープが送付されるようになるのは、1960年代後半~1970年代のことで、1950年代~60年代前半は少々違うようだ。
 では、どのように全世界にアーティストの音源を持ち込んだのだろう。まず、1950年代~60年代前半は船便でレコードそのものを輸出または輸入していた時代である。よく輸入盤と書かれて販売されていた。ジャズやクラシックなどは輸入盤に日本語のライナーノーツ(解説書)を付けて販売していた。
 そして、もう1つはスタンパー(レコードをプレスする盤)を輸入する方法である。当然、自国でのプレスになる。この場合は原盤直輸入のようなコメントが付いている。やはり、ジャズやクラシックに多かったように思う。
 なお、この場合は音質的(当然であるが・・・)には本国と同じ音源となることになる。原音に近いと思われる。

アナログレコード「不思議の旅」
サイト管理者:アナログ&オークション・オーナー
5.レコードの音の違い(2)

 ところが、1960年代中頃以降はマスターテープをコピーしたものが一般的になるようだ。当然、国内のレコード会社はテープからレコードを作るためのスタンパーを作らなければならない。ここに各国の音の違いが顕著に表れてくるのだ。
 当然、テープからレコードが作られるわけではない。カッティング・エンジニアと呼ばれるエンジニアがテープからミックスダウンやら補正をして、ラッカー盤を作るのだ。この作業工程は全世界共通であり、ここにカッティング・エンジニアの力量により、様々な違いが生じることになる。

アナログレコード「不思議の旅」
サイト管理者:アナログ&オークション・オーナー

アナログレコード「不思議の旅」
サイト管理者:アナログ&オークション・オーナー
サイト管理者:アナログ&オークション・オーナー
アナログレコードストアへ アナログレコード ザ・ビートルズへ アナログレコードプレーヤーへ