分裂の時は来た! ポール・マッカートニー
独占インタビュー! 【Rock Now 1971/9/16 発行】








分裂の時は来た!
ポール・マッカートニー
独占インタビュー!
【Rock Now 1971/9/16 発行】

分裂の時は来た!
ポール・マッカートニー、
ビートルズの解散と自身新しき方向について語る--
最終回 インタビュー/リチャード・メリマン
ROCK NOW (Rock Generation)
1971年9月16日号より掲載












 ベストなものというのは多くは自由なかけらであり、正体のつかまえにくいものだ。スタジオに入ればアド・リブが重要なように。もしボクがそこでこれからアド・リブをやるぜなんて 宣言しようものなら全然無意味でアド・リブなんか出来やしない。そんな時は外へ出てそして即興するのさ。調整室にいる誰かがかしこければ「おい、彼はアド・リブってるぞ、録音しちゃおう」ということになる。こういういい状態をつかまえるのはとても難しいと思う。きのうボクは最高に 乗ってゴキゲンなアド・リブをしたんだ、調整室の連中はこれを録音しそこなったんだ。次に彼らがテープを回したときにはボクの演奏はつまらなかった。ボクはすぎさった栄光をよびもどそうと試みたが、でもムダだった。
 でもそこには代償というものがある。時として人はそんなムダにかかわることを嫌うものだ。それはいい、レコードを買うお客さんの多くがそんなことを知らなくたって、少なくとも貴方とボクが知ったんだから。すべてがそうであるようそんな時ってとてもはかないものだ。人生でとどまって いるものなんてありゃしない。美しいものであるがゆえにそれは過ぎ去って行く。次のものが来るから彼等は順序よくすぎて行くのさ。美しいものとは、はかないものなのさ。

分裂の時は来た!
ポール・マッカートニー
独占インタビュー!
【Rock Now 1971/9/16 発行】

つづき 1






 好むと好まざるにかかわらずボクは他の3人と音楽上で競い合わなければならない。人間とは競うものなのだろう。でもこれは我々にとっていいことだと思う。ジョージは最近、彼がもうからっぽのモデル人形じゃないことを示し始めている。我々は個人的にはそれぞれ非常にいい人間だと感じる。
 今までボクの人生には3つのピリオドがあったんですよ。学校に通っていたとき、そして卒業したときがそれです。ディラン・トーマスやペイパーバックスを沢山読みあさり、テネシー・ウイリアムズなどの戯曲を知り、多くの文学作品を自分のものとしたときだ。バスの最上席にすわってパイプをくわえながらよく読書したものさ。 それからビートルズの時代さ。今ボクは一体何を望み何が出来るかということを昔のように感じ始めている。ビートルズが休止することによって再び僕は自身を取り戻したんだ。
 ちょっと人生に対して真剣すぎるかも知れない。9つの命を持っているかのように人生を生きる人はいない。でも時としてボクはそんな生き方をしてしまっているんだ。みんな心の中で"明日それをやろう"って思っているに違いない。でもボクはそれ以上余計なことはしたくない。テイク・ワンがだめなら、テイク・ツーを望めばいいのさ。 テイク・ツーに失望したなら-ボクはいつもダメなものの中にいいものをみつけるけど-本当にいいものって人生が生むものなんだ。問題をかかえ、それを解決して行くたびにボクとリンダの結婚生活は親密になっていった。非人間的な生き方を通じて、息をすい、生きるというのはホントに真実なものを生んでいくと思う。

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ポール・マッカートニー
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【Rock Now 1971/9/16 発行】

つづき 2






 ビートルズに関する限りそれはとてもファンタスティックだった。すべての経験を愛した。それはとても美しかった。でもそれは保護された生活だったと思う。「1時間以内にアップルへおいで下さい」と朝はやく誰かが電話をかけなきゃならないのだろう。とても甘えすぎてると思う。人間であるなら、自分で起きるべきだろう。 つまらないことだというかも知れないが、人生の喜びってこうした退くつなことから生れてくると思う。アップルが取り扱うクリスマス・ツリーにももうあきあきしている。「クリスマス・トゥリーはひとつでよろしいでしょうか」そんなことはどうでもいいんだ。あたりまえのことが出来る今の生活に大いなる喜びをみつけている。 我々はふつうの人々より時としてあたりまえになるべきだと思う。
 ニューヨークでボクは地下鉄でハーレムまで行き、アポロ劇場で素晴しい晩を過した。そしてセントラル・パークを数時間散歩した。忙しい日だったと思われるかも知れないが、バーモントの月光のように雪がはえた風景はとっても幻想的だった。誰にもおどされず、また誰もおどさずにこんな平凡なことが出来んだ。

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【Rock Now 1971/9/16 発行】

つづき 3






 人生を組織化しようなんて思わない。その瞬間だけなんだ。スコットランドにいるときにボクたちはツェットランド島に旅行しようと思いたったんだ。2人の子供と英国の羊犬マーサーなどをつれて一団となって出かけたのさ。2日目にボクたちはスクラブスターというスコットランドのはずれの港についた。大きなフェリーに乗ろうと思い 列にならんだんだけど二台前で満員になってしまったんだ。
 でも絶望しちゃいけない。ベストを尽そうよ。我々はマス・プロダクトを嫌らっているだけなんだ。そこでボクはその大きな定期船をブッこわすことを考えた。でもあきらめて小さな漁船で行くことにした。30ポンドあまりのスコッチかサケをつんでいったらロマンティックじゃないかと考えたんだ。
 船つき場へ行ってオークネー島へ行ってくれるように頼んだ。最初はことわられたが、他のスキッパーに30ポンドを渡して頼んだらOKしてしてくれたんだ。それはもう楽しいものだった。エンタープライズという船で船長はジョージという名だった。出されたビールのおかげでみなひどい船酔いになり大騒ぎをしたが、でもとにかく無事 オークネーに着いた。それはすばらしい経験だった。

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【Rock Now 1971/9/16 発行】

最終章






 島の人々はボクたちに気がついていたが、でもボクたちのプライバシーを尊重してくれた。スターになれば判ると思うが、スター扱いされることぐらいイヤなことはないんだ。普段着でレストランに入ったとき、タイをしめたお客ににらまれたときは反対にとてもおかしかった。スコットランドがまだ馬が育ち、芝生が緑で、空がすみきって いる充実を知ってとてもうれしかった。けがれていないスコットランド、ハドソンでもドラッグでもないスコットランドはボクの救いだった。
 ボクらはスコットランドで菜食主義を知った。それはとてもかしこいことだと思う。ボクは肉は食べない。何故なら農場で小ヒツジを飼っているからだ。そして肉を食べているとき窓の外で小ヒツジたちがとびはねているのをみてからというものやめたんだ。ボクはまた厳密な意味での菜食主義者じゃない。禁を破ることは自分自身でも 許している。貴方も禁を破る自身に寛ようであれ。
 ボクは思う、人はその人なりの人生に生きるべきだと。なんだか演説ぶってるようだがでもそこに気がつく必要があると思う。これはボク自身にとっても大きな意味をもっている。そして誰かが人の人生の一部分になろうとする際もだ。
 さあそろそろおしゃべりはやめにしよう。今日はまだなにもしていないので少しいらついてきたようだ。アルバムを完了しなくちゃならない。ボクたちは仕事に戻って種をまかなきゃならない。自然はボクらを待ってくれないからね・・・・・・。  【おしまい】

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